
【内通者】
シカゴまで車で行くには、何もなければ約9時間かかる。
周辺を15分ほど走らせた後、君たちは2ブロックほど離れた場所に駐車場を見つける。
簡素な見かけの3階建ての倉庫のような建物に歩いて行って正面ドアを入ると、このように書いてある:「ウィング輸入。代行は請け負っておりません」。
フロントに歩み寄ると、警備員が君たちを歓迎する。
何言か交わした後、資格と身元を照合して、適切な部署と連絡を取る間、君たちに座っているように促す。
5分ほど待った後、研究用の白衣を着た7人の男が待合室にやって来て、こう言う。「ロス博士、私たちと一緒に来てください。他の方々はここでお待ちください。他の者がすぐに参りますので」。
ロス博士はビクビクとして緊張する。彼は2歩歩いて、止まる。
一同:……。
ロス博士は君たちの前に静かに立っている。自らを自制するための明らかな努力として彼がこぶしを握り締める時、静寂が訪れる。ゆっくりと振り向いて、君たちの顔を順番に見て、微笑を浮かべる。彼は話す時、普段の愛想の良い表情のカリカチュアを貼り付けて頷く。
「それで、どのように処理するつもりなのかのかね? 十分な数を揃えられてはいないようだが? 明確な方針に従う事もできず、敵の出現に急行もできていないようだが?」。
次第に彼の声は大きくなり、その表情は怒りで歪んでくる。「否! お前たちは質問に答えなくてはならない……お前たちがそうするはずであったよりも深い回答をせねばならん! 常に私の努力を妨げ、私に選択肢を残さなかったのだから!」。
グルルルと唸って、老博士は彼の歳には見合わない力でニコラスに飛びかかる。彼が動くたびにその姿は徐々に、どうにかカイル・ロス博士ではあるが、違う何かに変化していく。彼はアンノウンのクリーチャー……ミニオンだ。
ニコラス:「何ィ!?」。
スティーヴ:どこかで入れ替わられたというよりも、最初からミニオンだったらしいセリフですね。何がどうなっているのか?
CM:ロス博士がミニオンに変貌しました。白衣を着たSAVEのメンバーは「うわっ!?」と驚愕して散って行きます。これは不意打ちになりますので、皆さん知覚力の一般判定(不意打ち判定)をしてください(全員成功)。次は恐怖判定ですね。-10%でお願いします。
スティーヴ:C成功。
ニコラス:H成功!
トム:M成功。
CM:くららはH成功です。
ロス=ミニオンは痛烈にこう言います。「お前たちは大馬鹿者だ、この調査を通じてコントロールされ、操られていたのだからな。お前たちは我々の玩具だったのだ。だが、もう遊ぶのは飽きた。アンノウンへ行く用意をしろ!」。
ではイニシアティブをロールしてください。
正体を現したロス=ミニオンとの戦闘です。しかし、容赦のないエンヴォイたちの銃撃により、ロス=ミニオンは2ラウンド目の声を聞くことなく倒れました(所詮ミニオンなので)。
CM:ロス=ミニオンは「父よ、救い給え! あなたの命令通りに行動したのに、今、あなたは私を見捨てるのか!!」と言い残して息絶えました。その死体はグズグズと崩れて、もうロス博士の名残すらありません。
ニコラス:……でも、これでシカゴのSAVEの司令部がアンノウンに知られてしまったっていうことだよね?
CM:そうです! これは重大な痛手です。過去にSAVEの支部が手酷く襲撃を受けたという事件も起きていますので、SAVEは支部の所在地をアンノウンから隠す事を最重要課題としています。なので、これは由々しき問題ですよ。
しばらくすると警備員が来て周辺を警戒しますが、後の祭りです。(警備員)「これはどういうことだ!?」、「何ということだ! SAVEの司令部にアンノウンの侵入を許すとは!!」、「まさか、協力者だと思っていたカイル・ロス博士がアンノウンに侵されていたとは……」などという絶望の声が交差しています。
ニコラス:「……いつからロス博士はミニオンだったのだろうか?」。
CM:どうでしょうねぇ? ロス=ミニオンが言った「この調査を通じてコントロールされ、操られていた」という言葉を信じるのなら、このレッサー・ゾンビ・マスターの存在自体、彼の捏造だった可能性が高いでしょうね。
ニコラス:シカゴの司令部に案内してもらうために、ということか。
CM:ただし、ロスが一人で画策したという可能性は低いでしょうね。ミニオンは奉仕種のクリーチャーなので、何らかの支配種クリーチャーが影で糸を引いている可能性があります。これは過去のエンヴォイたちの報告からも明らかです。
スティーヴ:そうなると、ロスの情報とは別のラインから浮かんできたトーマス・バーカー社長が俄然怪しくなってきますね。
SAVEは深くまで脅かされ、その中枢にまで迫られた。ロス=ミニオンが発見されるまでに、正確にどれだけの距離に迫られたのかは知る由もない。しかし何かが、どこかで、暗い目的のために彼を創り出したのだ。ツインシティの影にアンノウンの何ものかが潜んで、君たちが到着するのを画策したのは明らかだ。それはまだ影の中に潜んで、そこにいるのかもしれない。
君たちの唯一の手がかりはロス博士の家に滞在中に見つけ出した、奇妙な事柄だ。ロスが君たちに与えたありったけの調査資料は、おそらくは捏造された虚偽のものであった事を、今更ながらに悟る。すべてが振り出しに戻ったが、少なくとも今回は君たちを妨げるものはいない。
それにもかかわらず、君たちは時間がなくなっているという感覚を振り払う事ができない……。
CM:さて、このドタバタが収まると気がつくのですが、北条くららの姿が見当たりません。
トム:「……くららはどうした?」。
ニコラス:建物内の防犯カメラは? くららがどこに行ったか、映っているんじゃないか?
CM:おお、なるほど。警備員が見せてくれるでしょう。映像には人の流れに逆らって外へと出て行くくららの姿があります。ロス=ミニオン騒ぎの現場を指差して、警備員たちをそちらへ誘導さえしています。そしてビルの外に出ると、そのまま立ち去って姿を消しました。
スティーヴ:くららの携帯電話にかけてみますが?
CM:電話自体は繋がりますが、電話には出ません。呼び出し音が延々鳴っています。
ニコラス:……こうなったからには、SAVEにもくららの状況も話しておくしかないでしょう。「もしかしたら彼女も……」ということで。
トム:我々はセントポールへ戻って、無駄かもしれないけど、ロス博士の家をもう一度調べてみるしかないでしょう。
ニコラス:それしかないな。
スティーヴ:くららがトルネード出版に向かうかもしれないので、張り込みもした方が良いかもしれませんね。
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