
 【人喰い教団】
CM:積み上げられた箱の間に落とし戸があって、例の下水の悪臭が吹き上がってきています。梯子を降りていくと、下水道へと繋がりました。
時計を見ると、そろそろ真夜中です。今日は秋分です。秋分の真夜中はヴァルプルギスの夜やメイ・イヴなどと並んで魔術的な高まりがあると言われています。
さて、下水道を進んでいくと、前方から複数の人の話し声が聞こえてきます。
トム:いぃ!?
ニコラス:ゾンビか!?
スティーヴ:いや、ゾンビはガヤガヤと話しはしないでしょう。耳を澄ましてみます。
CM:狭い通路を反響して声が届いているので、内容までは聞き取れません。どうやら英語を話しているのは間違いなさそうですが。男性も女性もいるようです。争っている感じはありません。
スティーヴ:声のするほうへ近づいていきましょう。
CM:進んでいくと前方に梯子が見えてきて、それを上ると下水道内のマンホールの一つから出てこれます。いくつかの懐中電灯の明かりが揺れていて、「いよいよだ」、「この時が来た」というような、何かを待ち受けて期待するような会話が聞き取れるようになります。
スティーヴ:よし、乗り込みましょう!
CM:あなたたちが出てきたのはここ、ゾンビたちと戦った場所(Area 8)です。

CM:そこにいたのは数名の人間たちです。彼らの顔には見覚えがあります。バーカー・キッチンの従業員たちです。そして例の血塗れの壇の上には、トーマス・バーカーがいます。バーカーの足元には意識を失っているらしいくららが横たわっています。
一同:!?
CM:トーマス・バーカーは壇の下に並んでいるキッチンの従業員たちの方へ一歩進み出ると、冷たく笑ってこう言います。「時は来た、同志たちよ。我ら秘密教団が永年求めてきた目標が、ついに手に入ったのだ(※SAVEの司令部の所在です)。その祝いに、気高きロス博士にしたように、もう一人を我らの仲間に迎え入れよう」。それを聞くと、従業員たちはへつらうような神経質そうな笑い声を上げます。
トーマス・バーカーはあなたたちに目を向けると、手下の従業員たちにこう言います。「奴らを全員抹殺せよ。奴らの時間は終わった。奴らの肉が、我らの力を甦らせるのだ!」。
ニコラス:このカルティストたちは《精神保護》の範囲内に入れば正気を取り戻すのかな?
スティーヴ:状況によりますね。支配のパワーの影響下にあるのなら戻る可能性はありますけど、心の底から帰依してしまっている場合には無理でしょう。
CM:さて、4人のカルティストたちが手に手に武器を持って皆さんに襲い掛かってくるわけですが……。
集まったカルティストたちは君たちに向き直ると襲ってくるが、君たちはその向こうにさらに恐ろしい光景を目にする。
バーカーの体が震え、蒸気と霧の大きな雲を噴出し始める。彼の姿は黒い霧に包まれて、背が伸びていき、骨格が変わることで筋肉と腱が伸びる。彼の肌はつやのある黒いタールのように黒くなり、2本の腕の先は鋭利な鉤爪になり、胴の横からさらに2本の腕が延びてくる。そいつの両目は鈍い赤色に光り、終わる事のない悪意の眼差しの中、サメのような歯を剥き出してその顔を歪めている。勝利の甲高い雄叫びの中、クリーチャーはくららに歩み寄り、不浄の儀式を始める。
CM:バーカーはこんな奴(右図参照→)に変容しました。インディアン系のモンスターです。しかも、コイツはラスボスなので、腕を4本持つ特殊な奴です(笑)。それでは恐怖判定いきましょう。
トム:もうCIPは使い果たしているよ。
CM:ぶっちゃけてしまうと、コイツは「ブラック・タマナス」という名前のクリーチャーなんですが、この姿のタマナスに対する恐怖判定は-45で行います。
一同:えーーーーーっ!!!
スティーヴ:失敗!
ニコラス:失敗!
トム:H成功! 俺だけ成功かよ(笑)。これって意味あるのか?
スティーヴ:トムがせめてカルティストを倒してくれれば、どうにかなるかもしれません(笑)。
CM:問題は何ラウンドで仲間が帰ってきてくれるかですね(笑)。
ニコラス:そうなんだよね……。
スティーヴ:現在意志力を7ポイント失って……(コロコロ)……9! 9ラウンド逃げます(笑)。
トム:ぐは!
ニコラス:現在意志力を10ポイント失って……(コロコロ)……9! 9ラウンド逃げます(笑)。
トム:うそーーーーーん!
一同:(爆笑)。
もう既に事故寸前ですが(笑)、イニシアティヴを振ってラスト・バトル開始です。ブラック・タマナスの禍々しい姿を目の当たりにし、恐怖に駆られて逃げ出したニコラスとスティーヴの遠い帰りを待ちながら、トムは単身カルティストたちの中に残ります。
【ラスト・バトル】
【第1ラウンド】
ブラック・タマナスはくららをミニオンにすべく《手下》ディシプリンの儀式を執り行います。
カルティストたちの装備は1人が拳銃、あとの3人はナイフです。拳銃使いさえ落とせば、トムには<ボクシング>によるノックアウト攻撃があるため、勝ち目がないわけでもありません。残ったエンヴォイがトムであったことが幸いしました。スティーヴだったら2ラウンドで制圧されたでしょう。カルティストの拳銃は2発とも命中せず(トム:「よし! 奇跡だ!!」)、ナイフの3人はトムに接近して終了。
トムは拳銃カルティスト(キッチンのオーナー、ジェイソン・ドッブズ)に弾丸を3発命中させて重傷を負わせ、無力化に成功します。
トム:カルティストは人間?
CM:人間です。彼らはミニオン化されていないようです。
【第2ラウンド】
カルティストのナイフがトムに軽傷を負わせますが、まだまだ倒れません。
トムはカルティストの一人、ウェイン・エリクソンというアシスタント・マネージャーに残りの弾丸を撃ち込みますが、ウェインは深手を負いつつも倒れません。
【第3ラウンド】
カルティストのナイフが荒れ狂いますが、トムは倒れません。
トムは弾を撃ち尽くしたリボルバーを手放して<ボクシング>によるノックアウト狙いに切り替えます。拳銃で深手を負っていたウェインはノックアウトされました。
【第4ラウンド】
残るカルティストはマネージャーのケリー・ウィン=ジェフリーズと名もなき平信者の2人。カルティストのナイフは空を切りました。
トムのノックアウト攻撃も失敗して戦況は変わらず。
【第5ラウンド】
カルティストのナイフ攻撃はハズレ&ハズレ。
トムのノックアウト攻撃でケリーが昏倒。
スティーヴ(逃走中):強い! 強いよ、トム!
トム:早く帰ってきてくれーーーーー!
CM:(笑)。
【第6ラウンド】
名もなきカルティスト(ここで急遽、ジョン・ドウの名を与える)の攻撃がC成功! ザックリとトムを切り裂くも、トムはまだ健在。
トムのノックアウト攻撃は3発ともハズレ。
一同:ヤバーーーーーイ!
【第7ラウンド】
ジョン・ドウのナイフ攻撃はスカ。
トムの渾身のノックアウト攻撃でジョン・ドウは昏倒。とりあえず、これにて露払いは終了しました。
トム:残りの半ラウンドで拳銃は拾える? 拳銃を拾って次のラウンドは再装填だな。
【第8ラウンド】
CM:カルティストが全滅した事に気付くと、ブラック・タマナスは《手下》の儀式を中断して壇から降りてきます。全速力でトムへ接近して終了。
トム:3発リロード。
【第9ラウンド】
CM:ブラック・タマナスはさらにトムに接近。
トム:下がりつつ3発リロード。これでリボルバーへの再装填完了。
ニコラス&スティーヴ:これで我々は逃亡終了です。
トム:全速力で帰ってきてくれーーー! って、どう考えても間に合わないよな(泣)。
CM:(笑)。
【第10ラウンド】
CM:ブラック・タマナス、さらに接近。次のラウンドにはエンゲージですね。
トム:では最後っ屁を撃っておきますか。H成功、ハズレ、M成功。ダメージは活力に合計63ポイント、負傷に……。
CM:あ、負傷はいりません。コイツ、負傷ボックス持っていないので。
【第11ラウンド】
CM:さぁて、こちらの手番ですよ。最初に言っておきますけど、かなり厳しいですよ、こいつは。
スティーヴ:そうでしょうねぇ。
トム:タイマン勝負になった時点で終わりだって(泣)。現在活力は残り5ポイントですよ。
CM:タマナスは鉤爪による2回攻撃。1発目が命中して、活力に……(コロコロ)……20ポイント。負傷は3点。
一同:……。
トム:意識不明です。パタリ。
CM:倒れました、と。では……残念ながらトドメを刺します(笑)。ザシュッ!!
ニコラス:……まだ幸運度ロールがあります!
トム:ここで幸運度ロールに成功しても、どうなるもんでもないような……。
CM:エンディングに登場できるかどうかってことですね(笑)。
トム:幸運度は50……(コロコロ)……成功してしまった。
一同:おおっと!!
CM:トムが生きているのが判明するのは、すべてが終わってからですね。
さて、邪魔者はいなくなったので、タマナスはくららミニオン化の儀式を再開します。
第12〜22ラウンドはタマナスの冗長な儀式に費やされました。逃げ出してしまった我が身の弱さを呪いつつ、爆発寸前の心臓を抱えて23ラウンド目にニコラスが、24ラウンド目にスティーヴが、全力疾走で戻ってきました(全力疾走は毎ラウンド現在活力を3ポイントずつ消費するというルールがあり、全速力で9ラウンド逃げた彼らが気絶寸前まで活力を減らしながら戻ってくるにはこれほどのラウンドがかかってしまうのです)。
【第23、24ラウンド】
ニコラス:戻ってきました! 「トム、大丈夫か!?」。現在活力、残り2!
スティーヴ:戻ってきました! 「ああっ!? トーーーーーム!!」。現在活力、残り1!
ニコラス&スティーヴ:ゼイ、ゼイ。
トム:(爆笑)。
CM:文字通り息を切らしながら2人が帰ってきたことに気付くと、ブラック・タマナスは再び儀式をセーブして、振り向きます。「戻ってこなければ良かったものを。お前たちの仲間は死んだぞ!!」。
ニコラス:「よくもトムを!!」。
CM:床にはトムが倒れていますが、その右手はこっそりとOKマークを作っています(笑)。
トム(実は生きている):(笑)。
【第25ラウンド】
CM:(ブラック・タマナス)「超特急で地獄へ行けぃ!」という事で全速力で2人に接近。彼も現在活力を3ポイント失いました。
ニコラス:では《アストラル・アーマー》を準備します。……でも、残り活力2でダメージ半減させても意味ないよな(笑)。こんなヘロヘロの状態で戻って来て、できることあるのか?
スティーヴ:しかし、全力で戻ってこないわけには行かないでしょう(笑)。トムが残って、くららが何かの儀式の生贄になりかけていることは理解しているのですから。
CM:まぁ、ようするに、どちらかがタマナスに殺される間に、もう一人がタマナスにトドメを刺すしかないわけです。
スティーヴ:拳銃を撃ちます。3発命中で活力に104ダメージ。
CM:了解です。しかし、タマナス健在。
【第26ラウンド】
ニコラス:《アストラル・アーマー》発動。そして<マーシャル・アーツ>で攻撃です! C成功を3発お見舞いしますよ!
CM:そのセリフは聞き飽きました。どうぞ。
ニコラス:<マーシャル・アーツ>の奥義をお見せしますよ! (コロコロ)H成功、H成功……ハズレ!?
CM:奥義! 奥義、出ました!!(爆笑)
一同:(爆笑)。
ニコラス:1発目が11ダメ……。
CM:奥義、出ましたよ! フェザー・タッチ!!
トム:(笑)。
ニコラス:2発目が15。
CM:(惜しいな〜(笑)※タマナスの残り活力は20ポイント)ブラック・タマナスは……(コロコロ)……スティーヴを狙います。鉤爪攻撃。(コロコロ)……99!
一同:おおっ!?
CM:L成功です。
スティーヴ:はい、気絶しました。パタっ。
一同:……。
CM:そしてスティーヴにトドメ。ザシュッ!
スティーヴ:はいは〜い。(コロコロ)幸運判定は成功。防御系のアートに必要なので、幸運度は90ありますからね。
CM:文字通り死屍累々ですなぁ。スティーヴが実は生きていたことが判明するのはもう少し後です。
【第27ラウンド】
ニコラス:よし、今度こそオールC成功で決めるしかない! (コロコロ)H成功! M成功。L成功……。
CM:奥義、出ました! 奥義、出ましたよ!!
トム:(爆笑)。
ニコラス:23、11、9ダメージ。
CM:それで落ちますよ。ブラック・タマナスはエンヴォイ2人を道連れにしたものの、ニコラスの拳の前に倒れました。
一同:よっしゃーーーーーっ!!
【勝利】
ニコラス:とりあえず、手近に倒れているトムとスティーヴが生きているかを確認します。
CM:ブラック・タマナスにトドメを刺されたように見えましたが、わずかに急所を逸れて、どうにか生きているようです。
ニコラス:次はくららを助け起こしに行きます。意識はありますか?
CM:頬をぴたぴたと叩くと、くららはうっすらと目を開けます。命に別状はなさそうです。そうですね、活力、意志力共に1になっているような状態とお考えください。くららは「ああ、ニコラス……助けてくれたのね」と弱々しく呟きます。
ニコラス:よし、これで全員が生きている事を確認できたな。最後の力を振り絞って、カルティストとブラック・タマナスを縛り上げておきます。
CM:意識を取り戻したくららが<アンノウン知識>! ……08! C成功。彼女によると、ブラック・タマナスというのは、カニバリスト(食人者)を餌にしているクリーチャーです。
スティーヴ:餌がカニバリスト!?
ニコラス:! そういうことか!!
CM:つまり、まず餌となる人間をカニバリストにしなければならないのです。だから皆さんにロス=ミニオン経由で人肉を食べさせたり、デイモン=プライヤー・センターの浮浪者たちに密かに人肉を振る舞ったりしていたのです。つまりいなくなった浮浪者たちは、人肉と化したか、それを食べてタマナスの餌になってしまったか、というわけです。
ニコラス:食べちゃった餌はゾンビになったりはしないんだよね?
CM:そうですね。タマナスがちょっと言っていましたが、他人を食べる事によって自分の力として取り込むと考えていたのでしょう。インディアンっぽい思考ですよね。
ニコラス:じゃあ、ゾンビになっていたカッター家の霊廟の連中は?
CM:単純に、たまたまブラック・タマナスに目をつけられて手下として使われていたにすぎません。ある意味、カッター家の死者たちもタマナスの被害者と言えるかもしれませんね。
スティーヴ:哀れな……。
ニコラス:タマナスは死んだの?
CM:いいえ。負傷を受けないことからも分かるとおり、消滅させるのは簡単ではないのです。しかし七日七晩、カニバリストの肉を摂取できないとタマナスは死にます。
ニコラス:なるほど。では、縛り上げてどこかで監視していないとならないな。
CM:たとえば、壇にあった落とし戸に捕らえておくとかですね。ちなみに、9月19日の下水道に入っての初めてのゾンビとの団体戦で、くららが何かのロールに失敗した事を覚えていますか? あそこで彼女はタマナスの《影響力》下に入りました。その後、シカゴの司令部で姿を消してからは、この縦穴の中に閉じこめられていました。キッチンの隠し階段から管理施設に入り込んだ時、実は近くまで来ていたんですけどね〜(笑)。
息も絶え絶えな中、エンヴォイたちはタマナスを鎖で縛り上げると、縦穴へ落として閉じこめました。それからシカゴのSAVE司令部に連絡して、見張りのエンヴォイを派遣してもらいます。
捕らえたカルティストたちはアンノウンに染まりすぎて元には戻せません。食人集団として告発するのに充分な物証が揃っていますが、いたずらにセントポールに大混乱を起こす必要もないと考え、刑事告発は見送ります。カルティストたちは別件で逮捕され、何らかの収容所に入れられるのでしょう。
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