<海岸地名および海岸地帯民俗語彙> |
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[おことわり]
この篇は、私が日本民俗学会第54回年会(平成14年10月6日茨城県つくば市で開催)において「海岸地名および海岸地帯民俗語彙のポリネシア語による解釈」と題して研究報告を行った際の説明資料を基礎とし、若干の補足(潟地名の項)を加え、ホームページ用に既発表のホームページへのリンクを付加して編集したものです。
原則として口頭による補足説明を前提として編集したもとの説明資料のまま掲載しましたので、説明が不十分な点が多くありますが、ご容赦ください。
なお、割り当てられた時間が発表20分、質問5分と極めて短く、説明資料もそう大きくはできなかったので、海岸地名78例(補足した分を加えて88例)、海岸地帯民俗語彙8例、計86例(補足した分を加えて96例)の提示に止めました。したがって、これは海岸地名等の全容を示すものではなく、ほんの概要をかいつまんで示したものに過ぎません。
また、これらのほとんどは、地名篇等ですでに発表したものですが(これについての詳細は、リンクでご覧ください。)、未発表のものもいくつか含みますので、皆様のご参考までにこのような形で掲載することとしました。
なお、ここで示した解釈は、その後の検討によって他の篇において修正したものがありますが、それに応じて本篇に修正を加えることはしておりませんので、お含みおきください。
<海岸地名および海岸地帯民俗語彙のポリネシア語による解釈>
1 日本の古い地名・民俗語彙等は、ポリネシア語によって解釈が可能である
a海地名:海(うみ)・阿蘇海(あそかい。あそのうみ)・有磯海(ありそのうみ)・茅渟海(ちぬのうみ)・鳰海(におのうみ)
b灘地名:灘(なだ)・斎灘(いつきなだ)・燧灘(ひうちなだ)・響灘(ひびきなだ)
c湾地名:湾(わん)・英虞湾(あごわん)・浅茅湾(あそうわん)・尖閣湾(せんかくわん)・千々岩湾(ちぢわわん)・九十九湾(つくもわん)
b瀬戸地名:瀬戸(せと)・音戸(おんど)ノ瀬戸・加太(かだ)ノ瀬戸・速吸(はやすい)ノ瀬戸
a浜地名:浜(はま)・伊那佐(いなさ。稲佐)浜・琴(こと)ケ浜・浄土ケ(じょうどが)浜・由比(ゆい)ケ浜・夜見(よみ)ケ浜」
b浦地名:浦(うら)・阿漕(あこぎ)浦・袖ケ(そでが)浦・田子(たご)ノ浦・壇ノ(だんの)浦・鞆(とも)ノ浦・二見(ふたみ)ケ浦
c岩石海岸地名:磯(いそ)・碆(はえ)・浦留(うらどめ)海岸・おせんころがし・国賀(くにが)海岸・笹川流(ささがわながれ)・竜串(たつくし)海岸・東尋坊(とうじんぼう)・橋杭(はしくい)岩・臼(うす)碆
d潟(かた)地名: 邑知(おうち)潟(別名千路(ちじ)湖、菱(ひし)湖、大蛇(おろち)湖)・河北(かほく)潟(石川県)(別名蓮(れん)湖)・象潟(きさがた)・サロマ湖・柴山(しばやま)潟・鳥屋野(とやの)潟・能取(のとろ)湖・八郎(はちろう)潟・放生津(ほうじょうづ)潟・鎧(よろい)潟
a岬地名:岬(みさき)・足摺(あしずり)岬・安乗(あのり)岬・襟裳(えりも)岬・佐田(さだ)岬
b崎地名:崎(さき・ざき。埼・碕)・犬吠(いぬぼう)崎・石廊(いろう)崎・尻屋(しりや)崎・大王(だいおう)崎・竜飛(たっぴ)崎
c鼻地名:鼻(はな。ばな)・十六島(うっぷるい)鼻・生石(おいし)ケ鼻
d半島地名:渥美(あつみ)半島・男鹿(おが)半島・高縄(たかなわ)半島・知多(ちた)半島・常神(つねがみ)半島・能登(のと)半島
b列島地名:慶良間(けらま)列島・甑島(こしきじま)列島・吐喝喇(とから)列島
c諸島地名:天草(あまくさ)諸島・忽那(くつな)諸島・塩飽(しわく)諸島・直島(なおしま)諸島・琉球(りゅうきゅう)諸島
d島地名:壱岐(いき)・隠岐(おき)島・小値賀(おじか)島・小豆(しょうど。あづき)島・屋久(やく)島
a祭礼名:シロンゴ・ハーリー・ヒラセマンカイ・ホーランエンヤ
<海岸地名および海岸地帯民俗語彙のポリネシア語による解釈>
1 日本の古い地名や民俗語彙等は、ポリネシア語によって解釈が可能である
日本の古い地名や民俗語彙等には、現在我々が使用している日本語では意味不明のものが数多く存在する。また、古事記、日本書紀、風土記の中にも意味不明の地名、神名、人名や語彙が多数存在する。風土記の編纂は、当時すでに古い地名の意味がわからなくなっていたことの証左である。
これらの意味不明の語彙は、縄文語(原日本語)の語彙であり、これらは縄文語と語源を同じくし、かつ、その後他系統の言語との交流が少なく、比較的に古い姿を今に止めているポリネシア語によってその意味が正しく解釈されると考える。
報告者は、この観点から、2000年の第52回年回においては「山岳地名および山間地帯民俗語彙のポリネシア語による解釈」(地名篇(その八)を参照してください。)と題して、2001年の第53回年回においては「民俗行事の本質の語源的側面からの再検討」と題して報告を行った。
原日本人である縄文人は、南方から日本列島に渡来した古モンゴロイドであり、弥生人は古モンゴロイドが北方で寒冷適応したのち大陸または朝鮮半島を経由して日本列島に渡来したもので、両者が混血して現在の日本人が成立したとの有力説がある。また日本語の基層に南方語(オーストロネシア語)が入っていることは、ほぼ定説といってよい。さらに縄文人が話していた縄文語と、弥生人が持ち込んだ現在の日本語の語順、文法と基本語彙をもつ言語が融合して現在の日本語が形成されたとの説が有力である。
他方、東部オーストロネシア語を話すポリネシア族はモンゴロイドであり、その祖先は、雲南から出て中国南部からインドシナ半島の海岸部に居住していたが、紀元前数千年ごろ居住地を離れ、東へ移動して現在の地域に定着したとする説が有力である。
以上の説からすれば、このポリネシア族の祖先と言語を同じくするか、または極めて近い言語を話していた民族が、中国南部から北へ向かい、おそくとも縄文時代中期から後期には日本列島へ渡来して各地に居住していた可能性が高いと考えられる。
ポリネシア語は、日本語と語順は違うが、その語彙はすべて母音で終わる開音節で、世界中で最も日本語に似たひびきの語彙を持つ言語である。これまで言語学者は、数詞、身体語などを中心とするいわゆる基本語彙間に類似語が少ないとして両者の同系論を否定してきた。
また、地名研究者は、風土記以降の伝統である日本語による解釈にこだわり、一部アイヌ語、朝鮮語語源の地名の存在を認めたにすぎない。ポリネシア語に着目する研究者もあったが、日本語と現代ポリネシア語とを直接に比較し、音韻の似たものを抽出して解釈するという誤った方法を採つてきた。
そこで、日本の古い地名や語彙を、原ポリネシア語を介してそれに対応する現代ポリネシア語(とくにマオリ語)を探る方法*1によってその意味を解釈したところ、極めて多くの注目すべき結果を得た。
*1 日本語とポリネシア語の母音・子音の変化
原則として、母音の変化は語幹の最終母音のみ。原ポリネシア語のAI音は 日本語のE音に、AU音がO音に、IA音がYA音、IO音がYO音、IU音がYU音に変化。語頭または語尾のH音またはK音や、畳語の反復部分の脱落多し。子音の変化は下表による。
日本語 原ポリネシア語 マオリ語 ハワイ語
S,Z;T,D;(H) ← S → T,H H
T,D;S,Z;K ← T → = K
G,K;N ← NG → = N
W;H ← WH → = W
R ← R,L → R L,N
K,G ← K → = =
H(F),P,B ← H,F → H H
P,B,H(F) ← P → = =
= ← N,M,W → = =
縄文時代に日本列島に渡来した縄文人は、まず海岸地帯に住み着き、次第に河川を遡って内陸に拡散し、北海道以南の海岸地帯にあまねくポリネシア語によって解釈できる多様多彩な海岸地名と海岸地帯民俗語彙を残している。
その結果を概観すると、(1)正確に地形を把握している、(2)的確に自然・環境の特質を把握している、(3)自然を擬人化するなど多彩な比喩・形容による命名が多い、(4)漁猟など生活用具や生活風習に根ざした命名がある、(5)歴史上の英雄等の事績による命名が残る、(6)民俗語彙については行事等の特徴・特質ないし本質を実に的確・簡潔に、しかもユニークな形容で表現しているなどの特徴がみられる。
*2 以下の解釈は、原則としてマオリ語により、兄弟語のハワイ語によつた場合はその旨注記した。
(a)海(うみ) もともと「うみ」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「ウ・ミ」、U-MI(u=bite,be fixed,reach its limit;mi=stream,river)、「見渡すかぎりの(極限まで達している)・川(のような。海)」または「フミ」、HUMI(abundant,copious)、「(水が)満ち満ちている(または水が膨大にある。場所。海)」(H音が脱落して「ウミ」となった)
「海」と呼ばれる海域名(湾名、湖沼名を含む)には、日本海、伊勢海、宇和海、与謝海などのように、その海域に面する国名、地方名などの地域名が冠されるものが多い。以下この稿では地域名と関係のないものを原則として対象とする。
「アト」、ATO(ebclose in a fence)、「垣根(天橋立)で囲い込まれた(海)」(地名篇(その三)の京都府の(23)天橋立の項を参照してください。)
「アリ・タウ」、ARI-TAU(ari=clear,appearance;tau=reef,come to rest,beautiful)、「清らかな・美しい(岩石海岸)」(「タウ」のA音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)(地名篇(その十五)の富山県の(3)射水郡のb有磯海の項を参照してください。)
「チヒ・ヌイ」、TIHI-NUI(tihi=sough,moan;nui=large,many)、「(神武天皇の兄五瀬命が戦いで負った傷の痛みに)ひどく・うめいた(場所。その海)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「ヌイ」のI音が脱落して「ヌ」となった)(古典篇(その三)の4の(1)日向から摂津までの項を参照してください。)
「ニホ」、NIHO(tooth,traverse in a defensive trench)、「(塹壕の中を行き来する)浮巣が遊弋する(鳥。その鳥が住む海=琵琶湖)」
(a)灘(なだ) もともと「なだ」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「ナ・タ」、NA-TA(na=by,belonging to;ta=dash,beat,lay)、「いつも・(波浪が)激しく打ち付ける(場所。海)」
なお、神戸市灘は、「ナチア」、NATIA(=nati=pinch,contract)、「(六甲山と海に挟まれて)締め付けられている(狭い。場所。地域)」または「ナ・タハ」、NA-TAHA(na=by,belonging to;taha=margin,edge)、「(六甲山の)縁(に位置する。土地。地域)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)と解する。(地名篇(その四)の兵庫県の(4)灘の項を参照してください。)
「イ・ツキ」、I-TUKI(i=beside,past tense;tuki=pound,beat,attack)、「(波浪が)叩き付けてくる・場所一帯(海)」(地名篇(その十四)の愛媛県の(7)野間郡のb斎灘の項を参照してください。)
「ピウ・チ」、PIU-TI(piu=throw or swing as with a cord,wave about;ti=throw,cast,overcome)、「(波浪が)鞭のように・叩き付けてくる(海)」(「ピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒウ」となった)(地名篇(その十四)の愛媛県の(2)宇麻郡のb燧灘の項を参照してください。)
「ヒ・ピキ」、HI-PIKI(hi=raise,rise;piki=climb,frizzled,pressed close together)、「(波に)高く持ち上げられて・ドスンと落とされる(叩き付けられる。海)」(地名篇(その十八)の福岡県の(9)遠賀郡のb響灘の項を参照してください。)
(a)湾(わん) もともと「わん」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「ワ(ン)ガ」、WHANGA(bay,bight,stretch of water,space)、「(gulfよりも小さな)湾(入り江)」(WH音がW音に、NG音がN音に変化して「ワナ」から「ワン」となった)
「ア(ン)ゴ」、ANGO(gape,be open)、「口を開いている(湾)」(NG音がG音に変化して「アゴ」となった)(地名篇(その三)の三重県の(17)英虞湾の項を参照してください。)
「アト・ウ」、ATO-U(ato=enclosed in a fence;u=bite,be fixed)、「(至る所を)食いちぎられた・(海岸で)囲まれている(湾)」(地名篇(その十八)の長崎県の(10)下県郡のb淺茅湾の項を参照してください。)
「テネ・カク」、TENE-KAKU(tene=be importunate;kaku=scrape up,bruise)、「しつこく・削つた(湾)」(「テネ」が「テン」から「セン」となった)(地名篇(その十五)の新潟県の(11)雑太郡のb尖閣湾の項を参照してください。)
「チチワ」、TITIWHA(show out,catch fish with a hook drawn throgh the water)、「釣り針のような(魚を引っ掛ける鈎のような岬がある。湾)」(地名篇(その十八)の長崎県の(4)高来郡のb千々石湾の項を参照してください。)
「ツク・モウ」、TUKU-MOU(tuku=let go,settle down,steep in dye etc.;mou=fixed,firm)、「(谷に)海水が侵入して・止まった(湾)」(地名篇(その十五)の石川県の(10)の珠洲郡のb九十九湾の項を参照してください。)
「クル・チマ」、KURU-TIMA(kuru=strike with the fist,pound;tima=a wooden implement for cultivating the soil)、「拳骨で殴るように(荒々しく)・堀棒で掘るように(突き進んで来る潮流が流れる。海峡)」(地名篇(その十四)の愛媛県の(6)越智郡のb来島海峡の項を参照してください。)
「(ン)ガル・ト」、NGARUE-TO(ngarue=shake,move to and fro;to=drag,open or shut a door or a window)、「震えながら(渦を巻いて)・(潮の干満によって潮流が)行き来する(海峡)」(「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)(地名篇(その十四)の徳島県の(2)板野郡のb鳴門海峡の項を参照してください。)
b瀬戸地名
(a)瀬戸(せと) もともと「わん」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「テ・ト」、TE-TO(te=crack;to=drag,open or shut a door or a window)、「(潮の干満で潮流が)行き来する・割れ目(の場所。海峡)」
「オ(ン)ガ・ト」、ONGA-TO(onga=agitate,shake about;to=drag,open or shut a door or a window)、「(潮の干満に伴って)震動しながら・潮流が出入する(海峡。瀬戸)」(「オ(ンガ」の語尾のGA音が脱落して「オン」とな)った)(地名篇(その十三)の広島県の(18)安芸郡のb音戸瀬戸の項を参照してください。)
「カハ・タ」、KAHA-TA(kaha=strong,rope;ta=dash,beat,lay)、「(潮流が)力強く・押し寄せる(海峡。瀬戸)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)(地名篇(その五)の和歌山県の(9)加太の項を参照してください。)
「ハ・イア・ツヒ」、HA-IA-TUHI(ha=breathe;ia=current,rushing stream,indeed;tuhi=point at,conjure)、「魔法で呼び出されるように・呼吸する(潮の干満によって流れの向きが変わる)・速い潮流(がある。海峡。瀬戸)」(地名篇(その十四)の愛媛県の(15)宇和郡のb速吸瀬戸の項を参照してください。)
(a)浜(はま) もともと「はま」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「ハマ」、HAMA(faded)、「(徐々に)陸地が消えて行く(場所。浜)」
「イナ・タ」、INA-TA(ina=adducing a fact as proof of anything;ta=dash,beat,overcome)、「(『古事記』に建御雷神と天鳥船神が事代主神と建御名方神を屈服させ大国主神に国譲りをさせたとある)歴史上の事実である・(出雲国を)征服した(場所。浜)」(地名篇(その十二)の島根県の(7)出雲郡のb稲佐の浜の項を参照してください。)
なお、『日本書紀』には「五十狭(いささ)浜」とあり、これは「イ・タタ」、I-TATA(i=beside,past tense;tata=dash down,strike repeatedly)、「(大国主神とその子の事代主神と建御名方神を)次々に屈服・させた(場所。浜)」と解します。
「コト」、KOTO(sob,make a low sound)、「すすり泣く(鳴き砂がある。浜)」(地名篇(その十二)の島根県の(14)邇摩郡のb琴ケ浜の項を参照してください。)
「チホウ・ト(ン)ガ」、TIHOU-TONGA(tihou=an implement used for cultivating;tonga=blemish on the skin,wart)、「木の瘤(のような岩)を・鍬で堀り削ったような(奇岩怪石がある。浜)」
「イ・ウヒ」、I-UHI(i=beside,past tense;uhi,uhiuhi=sprinkle)、「(波が海岸の岩に砕けて)水しぶきを・上げている(浜)」(地名篇(その十一)の神奈川県の(7)鎌倉郡のb由比ヶ浜の項を参照してください。)
「イオ・ミ」、IO-MI(io=muscle,line;mi=stream,river)、「水に浸かっている・綱(の。浜)」(地名篇(その十二)鳥取県の(15)会見郡のb夜見の嶋の項を参照してください。)
(a)浦(うら) もともと「うら」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「ウラ(ン)ガ」、URANGA(circumstance of becoming firm,reach the land,arrive by water)、「船が発着する(場所)」(語尾のNGA音が脱落して「ウラ」となった)
「アコ・(ン)ギ(ン)ゴ(ン)ギ(ン)ゴ」、AKO-NGINGONGINGO(ako=learn,teach;ngingongingo=malignant devouring spirits)、「邪悪な貪欲の(故に海に沈められた漁師の)亡霊が・(地獄の惨苦の)教訓を垂れる(海岸)」(「(ン)ギ(ン)ゴ(ン)ギ(ン)ゴ」の反覆語尾が脱落し、最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ギノ」となった)
「タウテカ」、TAUTEKA(brace,pole on which a weight is carried between two persons)、「(二人で担いだ荷物を吊した棒のように)たるんでいる(海岸線の。浦)」(AU音がO音に変化して「トテカ」から「ソデガ」となった)(地名篇(その十)の千葉県の(11)望陀郡のb袖ヶ浦市の項を参照してください。)
「タコ」、TAKO(peel off,loose)、「皮を剥いたような(滑らかな。浦)」(広義):「タカウ」、TAKAU(steep)、「険しい(崖が迫っている。浦)」(AU音がO音に変化して「タコ」となった)(狭義)(地名篇(その十七)の静岡県の(22)富士郡のb田子の浦の項を参照してください。)
「タ・(ン)ゴ(ン)ゴ」、TA-NGONGO(ta=dash,beat,overcome;ngongo=waste away,suck,sad)、「(平家の水軍が)打ちのめされて・消滅した(浦)」(「(ン)ゴ(ン)ゴ」のNG音がいずれもN音に変化して「ノノ」から「ンノ」となった)(地名篇(その十三)の山口県の(10)豊浦郡のb壇之浦の項および地名篇(その十四)の香川県の(5)山田郡のb壇ノ浦の項を参照してください。)
「トモ」、TOMO(be filled,pass in,enter)、「(船が)入って一杯になる(浦)」(地名篇(その十三)の広島県の(5)沼隈郡のb鞆の浦の項を参照してください。)
「プタ・ミヒ」、PUTA-MIHI(puta=opening,pass through in or out,appear;mihi=greet,admire,show itself)、「(太陽が夫婦岩の間から)現れる・尊崇すべき(場所。浦)」(「プタ」のP音がF音を経てH音に変化して「フタ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)(地名篇(その三)の三重県の(8)五十鈴川のb二見浦の項を参照してください。)
(a)磯(いそ) もともと「いそ」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「イト」、ITO(object of revenge)、「(復讐をしたかのように)さんざんに打ち砕かれた岩が散乱する(海岸)」
(b)碆(はえ) もともと「はえ」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「パエ」、PAE(horizon,region,horizontal ridges of hills,lie on one side,be cast ashore)、「水面すれすれに顔を出している(岩)」(P音がF音を経てH音に変化して「ハエ」となった)
「ウラ(ン)ガ・タウ・マイ」、URANGA-TAU-MAI(uranga=circumstance of becoming firm,place of arrival;tau=ridge of a hill,come to rest,float,lie steeping in water;mai=to indicate direction or motion towards)、「岩山が・海に浮かんで・連なっている(海岸)」(「ウラ(ン)ガ」の語尾のNGA音が脱落して「ウラ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)(地名篇(その十二)の鳥取県の(2)巨濃郡のb浦富海岸の項を参照してください。)
「オ・テ・(ン)ゴロ・カチ」、O-TE-NGORO-KATI(o=the place of;te=crack;ngoro=utter exclamation of surprise or admiration;kati=cease be left in statu quo,block up,barrier)、「驚きの声も・出ない・絶壁(割れ目)の・場所」(地名篇(その十)千葉県の(18)夷隅郡のbおせんころがしの項を参照してください。)
「ク・ヌイ(ン)ガ」、KU-NUINGA(ku=silent;nuinga=majority,party,people)、「殆どの人が・(感動して)絶句する(絶景の土地。海岸)」(地名篇(その十二)の島根県の(20)知夫郡のb国賀海岸の項を参照してください。)
「タタ・カワ・(ン)ガ(ン)ガレ」、TATA-KAWA-NGANGARE(tata=beat down,break in pieces,strike repeatedly;kawa=heap;ngangare=quarrel)、「削られた・山が・口論をしているような(荒々しい岩が連なる。海岸)」(地名篇(その十五)の新潟県の(8)石船郡のb笹川流の項を参照してください。)
「タ・ツク・チ」、TA-TUKU-TI(ta=dash,beat,lay;tuku=let go,blow from any quarter;ti=throw,cast,overcome)、「(波が)四方八方から・襲って・浸食した(海岸)」(地名篇(その十四)の高知県の(8)幡多郡のb竜串海岸の項を参照してください。)
「トウ・チナ・ポウ」、TOU-TINA-POU(tou=dip into liquid,wet;tina=fixed,firm,hard;pou=pole,stake)、「どっしりとした(堅い)・柱のような岩が・海に漬かっている(場所)」(「チナ」が「チン」から「ジン」となった)(地名篇(その十五)の福井県の(7)坂井郡のb東尋坊の項を参照してください。)
「パチア・クヒ」、PATIA-KUHI(patia=spear;kuhi=thrust in,insert)、「槍(のような岩)を・(海中に)挿し込んだ(場所。海岸)」(「パチア」のP音がF音を経てH音に変化し、語尾のA音が脱落して「ハシ」となった)(地名篇(その五)の和歌山県の(30)串本町のc 橋杭岩の項を参照してください。)
「ウツ」、UTU(dip up water,dip into for purpos of filling)、「海水に浸けられている(波が打ち寄せる。碆(水面すれすれに顔を出している岩)」(地名篇(その十四)の高知県の(8)幡多郡のc臼碆の項を参照してください。)
(a)邑知(おうち)潟(石川県)(別名千路(ちじ)湖、菱(ひし)湖、大蛇(おろち)湖)
「アウ・チ・カタ」、AU-TI-KATA(au=cloud,sea,wake of a canoe,string;ti=throw,cast,overcome;kata=opening of shellfish,laugh)、「紐が・放り出されている・貝が口を開けているような(湖)」
「チチ」、TITI(peg,sticks,long streaks of clod)、「長い棒のような(湖)」
「ヒヒ・チ」、HIHI-TI(hihi=any long slender appendages;ti=throw,cast,overcome)、「鯨の髭(または海老の髭などの細長いもの)が・放り出されている(湖)」
「オロ・チ」、ORI-TI(oro=clump of trees;throw,cast,overcome)、「材木が・放り出されている(湖)」
(地名篇(その十五)の石川県の(7)羽咋郡のb邑知潟の項を参照してください。)
「カホ・クフ」、KAHO-KUHU(kaho=batten,rail of a fence etc.;kuhu=insert,conceal)、「垣根(砂丘)で・隠されている(潟)」
「レナ」、RENA(stretch out)、「手足を十分に伸ばした(湖)」
(地名篇(その十五)の石川県の(5)加賀郡のb河北潟の項を参照してください。)
「キ・タ」、KI(full,very)-TA(dash,beat,lay)、「たくさんの(小島が)・ある(潟)」(地名篇(その二)の秋田県の(17)象潟の項を参照してください。)
「タ・ロマ」、TA-ROMA(ta=the,dash,beat,lay;roma=current,stream,channel)、「潮流が・激しく襲う(湖)」(cf.アイヌ語サルオマトー(葦原にある湖))(地名篇(その二)の北海道の(16)サロマ湖の項を参照してください。)
「チパ・イア・マ」、TIPA-IA-MA(tipa=dried up,broad,large;ia=indeed,current;ma=white,clear)、「乾燥してきている・実に・清らかな(潟)」(地名篇(その十五)の石川県の(2)江沼郡のb柴山潟の項を参照してください。)
「ト・イア・(ン)ガウ」、TO-IA-NGAU(to=be pregnant,drag,open or shut a door or a window;ia=current,indeed;ngau=bite,hurt,attack)、「潮の干満に応じて水位が変動する・浸食された・水(沼)がある(土地。潟)」(地名篇(その十五)の県の(7)沼垂郡のc鳥屋野潟の項を参照してください。)
「ナウ・トロ」、NAU-TORO(nau=come,go;toro=creep,extend)、「(狭くて浅い水路をカヌーが)這うように・出入りする(湖)」(cf.アイヌ語ノトロ(岬のところ))(地名篇(その二)の北海道の(15)網走市の項を参照してください。)
「ハ・チロ」、HA-TIRO(ha=breathe;tiro=look)、「呼吸をしているように・見える(湖)」または「ハチ・ロ」、HATI-RO((PPN)fati=(Hawaii)haki=easily broken,fragile;ro=roto=inside)、「内部が・崩れやすい(湖)」(地名篇(その二)の秋田県の(2)八郎潟の項を参照してください。)
「ホウ・チホウ・ツ」、HOU-TIHOU-TU(hou=feather,tail feather;tihou=an implement used for cultivating;tu=stand,fight with,energetic)、「羽根で飾った(美しい)・一生懸命に・鍬で掘ったような(潟)」(地名篇(その十五)の富山県の(3)射水郡のb放生津潟の項を参照してください。)
「イオ・ロイ」、IO-ROI(io=muscle,line,spur;roi=fern root,tied,knot)、「(信濃川支流の中ノ口川と西川に挟まれた)繋がっている・紐のような(潟)」
(a)岬(みさき) もともと「みさき」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「ミヒ・タキ」、MIHI-TAKI(mihi=greet,admire,show itself;taki=stick in(takitaki=fence,screen))、「明らかに(自らを誇示するように)・(海に向かって突き刺すように)突き出ている(垣根となっている場所。岬)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
「ア・チ・ツリ」、A-TI-TURI(a=the...of,belonging to;ti-throw,cast;turi=knee,post of a fence)、「まるで・膝を・(海中に)投げ出している(ような。岬)」(地名篇(その十四)の高知県の(8)幡多郡のc足摺岬の項を参照してください。)
「ア(ン)ゴ・リ」、ANGO-RI(ango=gape;ri=screen,protect)、「口を開いた場所(的屋湾)を・保護している(防波堤となっている。岬)」(「ア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「アノ」となった)(地名篇(その三)の三重県の(16)的矢湾のb安乗崎の項を参照してください。)
「エ・リ・マウ」、E-RI-MAU(e=to denote action in progress,by;ri=screen,protect,bind;mau=carry,fixed,continuing)、「(岩の)垣根が・ずっと(沖まで)・続いている(場所。岬)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)(地名篇(その二)の北海道の(8)襟裳岬の項を参照してください。)
「タタ」、TATA(stalk,stem,fence)、「垣根(のような。岬)」(地名篇(その十四)の愛媛県の(15)宇和郡のb佐田岬半島の項を参照してください。)
(a)崎(さき・ざき。埼・碕) もともと「さき」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「タキ」、TAKI(stick in(takitaki=fence,screen))、「(海に向かって突き刺すように)突き出ている(垣根となっている場所。岬)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)(前出aの(a)岬(みさき)の項を参照してください。)
「イヌ・ポウ」、INU-POU(inu=drink;pou=post,pole)、「海水を飲んでいる(海に漬かっている)・柱(のような。岬)」(地名篇(その十)の千葉県の(8)海上郡のb犬吠埼の項を参照してください。)
「ヒ・ロウ」、HI-ROU(hi=raise,rise;rou=a long stick,club-footed)、「高くなった・長い棒(または曲がった足)のような(岬)」(「ヒ」のH音が脱落して「イ」となった)(地名篇(その十七)の静岡県の(27)賀茂郡のb石廊崎の項を参照してください。)
「チリ・イア」、TIRI-IA(tiri=throw or place one by one,scatter;ia=indeed,current)、「実に・(岩礁が付近に)ばら撒かれている(岬)」(地名篇(その二)の青森県の(10)尻屋崎の項を参照してください。)
「タイ・アウ」、TAI-AU(tai=the sea,the coast,tide,wave,anger;au=bark)、「海が・吠える(岬)」(「アウ」のAU音がOU音に変化して「オウ」となった)(地名篇(その三)の三重県の(18)大王崎の項を参照してください。)
「タ・アピ」、TA-API(ta=dash,beat;api,apiapi=crowded,dense)、「(潮流が)凝集して・激しく打ち付ける(岬)」(「タ」のA音と「アピ」の語頭のA音が連結して「タピ」から「タッピ」となった)(入門篇(その三)の(6)のa竜飛崎の項を参照してください。)
(a)鼻(はな。ばな) もともと「はな」は、次の意味を持っていたと考えられる。
「ハ・アナ」、HA-ANA(ha=breathe;ana=cave)、「呼吸をする・穴がある(鼻。それに似た地形の場所(特に潮の干満によって方向を変える潮流が顕著に流れる場所の通常小さな岬の名であることが多い。)」(「ハ」のA音と「アナ」の語頭のA音が連結して「ハナ」となった)または「パナ」、PANA(thrust or drive away)、「(前方に)突き出ている(鼻。その地形の場所)」(P音がF音を経てH音に変化して「ハナ」となった)
「ププ・ルイ」、PUPU-RUI(pupu=bundle,voluteunivulve moluscs;rui=shake,sprinkle)、「波しぶきを上げる・栄螺(さざえ)(のような岩がある。岬)」(「ププ」の語頭のP音が脱落して「ウプ」から「ウップ」となった)(地名篇(その十二)の島根県の(6)楯縫郡のb十六島岬の項を参照してください。)
「オイ・チ」、OI-TI(oi=shudder,move continuously as the sea;ti=throw,cast)、「(潮流の中に)放り出されて・震えている(岬)」(地名篇(その四)の兵庫県の(38)三原郡のd生石崎の項を参照してください。)
「アツ・ミヒ」、ATU-MIHI(atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action;mihi=greet,admire,show itself)、「ずっと真っ直ぐ延びている・ことを見せつけている(誇示している。半島)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)(地名篇(その十七)の愛知県の(18)渥美郡の項を参照してください。)
「アウ(ン)ガ」、AUNGA(not including)、「中が空っぽの(中に八郎潟がある。半島)」(地名篇(その二)の秋田県の(1)男鹿半島の項を参照してください。)
「タカ・ナハ」、TAKA-NAHA(taka=heap,lie in a heap;naha=noose for snaring ducks)、「(忽那諸島という鴨を繋いでいる)輪縄を縛りつけた・高い山(高縄山がある。半島)」(地名篇(その十四)の愛媛県の(8)風早郡のb高縄山の項を参照してください。)
「チタハ」、TITAHA(lean to one side,decline)、「(先端が)曲がっている(半島)」(H音が脱落して「チタ」となった)(地名篇(その十七)の愛知県の(9)智多郡の項を参照してください。)
「ツ・ネイ・カミ」、TU-NEI-KAMI(tu=fight with,energetic;nei=indicate continuance of action;kami=eat)、「荒々しく・次から次へと・食いちぎった(跡がある。半島)」(地名篇(その十五)の福井県の(11)三方郡のb常神半島の項を参照してください。)
「(ン)ゴト」、NGOTO(head)、「頭(を日本海に突き出している。半島)」(地名篇(その十五)の石川県の(6)能登国の項を参照してください。)
「オ・カタ・ワラ」、O-KATA-WHARA(o=the place of;kata=laugh,opening of shellfish;whara=be struck,be eaten)、「貝が口を開けたような湾が・浸食されている・場所(父島。その父島を主とする群島)」(地名篇(その十一)の東京都島嶼部の(33)小笠原諸島の項を参照してください。)
「カイラムア」、KAIRAMUA(forestall removal of a mark to warn people against trespassing)、「(黒潮が洗う沖縄本島の前に位置して)先祓いをしているような(列島)」(AI音がE音に、UA音がA音に変化して「ケラマ」となった)
「コチ・キ」、KOTI-KI(koti=divide,separate;ki=full,very)、「(集落が互いに)全く・切り離されている(島からなる。列島)」
「トカ・ラ」、TOKA-RA(toka=stone,rock;ra=wed)、「岩が・連なっている(列島)」
「アマ・クタ」、AMA-KUTA(ama=outrigger of a canoe;kuta=encumbrance,clog)、「(九州本土に平行している)不細工で邪魔な・(カヌーの)アウトリガーのような(諸島)」
「ク・ツ(ン)ガ」、KU-TUNGA(ku=silent,firm;tunga=decayed tooth)、「静かな・虫歯のような(島が一直線に並んでいる。諸島)」(地名篇(その十四)の愛媛県の(8)風早郡のb忽那諸島の項を参照してください。)
「チワ・ク」、TIWHA-KU(twha=patch,spot,appeal for assistance in war;ku=silent,firm)、「静かな・点々と海に浮かぶ(諸島)」または「静かな・戦いの助勢をする(水軍がたむろする。諸島)」(地名篇(その十四)の香川県の(9)那珂郡のb塩飽諸島の項を参照してください。)
「ナオ」、NAO(handle)、「取っ手(ハンドル)が付いている(島の南部に直角に曲がった岬がある島(直島)。その島を主とする諸島)」(地名篇(その十四)の香川県の(6)香川郡のc直島の項を参照してください。)
「リウ・キフ」、RIU-KIHU(riu=pass by(riunga=passage,way);kihu,kihukihu=fringe)、「(大陸の)縁(縄文海進以前は、東シナ海は陸地でした)の・通路(であった。諸島)」(「キフ」のH音が脱落して「キウ」から「キュウ」となった)
「イキ」、IKI(sweep away,clear off)、「(表面が)拭われた(島)」(地名篇(その十八)の長崎県の(5)壱岐国の項を参照してください。)
「オキ」、OKI((Hawaii)to cut,separate)、「(縄文海進で島前と島後に)切り離された(島)」(地名篇(その十二)の島根県の(19)隠岐国の項を参照してください。)
「オ・チカ」、O-TIKA(o=the place of;tika=straight,keeping a direct course)、「(北九州から中国江南へ)直行する(最短距離にある)・場所にある(島)」(地名篇(その十八)の長崎県の(2)松浦郡のc小値賀島の項を参照してください。)
「ア・ツキ」、A-TUKI(a=the...of,belonging to;tuki=beat,attack(tutuki=extend))、「(南へ三つの)岬を突き出して・いる(島)」(地名篇(その十四)の香川県の(13)小豆郡の項を参照してください。)
「イア・ク」、IA-KU(ia=indeed;ku=showery unsettled weather)、「実に・よく雨が降る(島)」
「チヒ・ロ(ン)ゴ」、TIHI-RONGO(tihi=summit,top;rongo=obay,peace after war)、「一番になった者に・服従する(競争)」
「ハハ・アリ」、HAHA-ARI(haha=savoury,breathe with difficulty;ari=clear,visible,appearance)、「(衆人環視の下での)公明正大な・息をはずませる(競争)」(「ハハ」の二番目のH音が脱落して「ハア」となった)
「ヒラ・テ・マ(ン)ガイ」、HIRA-TE-MANGAI(hira=numerous;te=emphasis;mangai=mouth)、「何回も何回も・熱心に・(稲魂を招く言葉を掛け合いで)唱える(ことによって稲魂を呼び戻す。行事)」(「マ(ン)ガイ」のNG音がG音を経てK音に変化して「マンカイ」となった)(入門篇(その一)の2の(3)のaの(c)笠利湾の項を参照してください。)
「ハウラ(ン)ギ・エ(ン)ギア」、HAURANGI-ENGIA(haurangi=mad,furious;engia=expressig assent)、「狂え(漕げ)!・その通り!」(雑楽篇の211ほーらんえんやの項を参照してください。)
「タパニヒ」、TAPANIHI(go stealthly)、「静かに(軽快に)動き回る(船)」(H音が脱落して「タパニ」から「サバニ」となった)
「アパ」、APA(=apaapa=above)、「(網を)上方へ(持ち上げるもの。浮子(うき))」
「イヒ・タ・タキ」、IHI-TA-TAKI(ihi=split,Hawaii)sacred;ta=lay;taki=track,bring along)、「神への捧げ物のように・(頭に)載せて・運ぶ(人)」(「イヒ」のH音が脱落して「イ」となった)
「ニヒ・ラヒ・カノイ」、NIHI-RAHI-KANOI(nihi=come stealthly;rahi=great,abundant;kanoi=strand of a rope,position,trace one's descent)、「(大昔に)多くの人が・渡来してきた・その先祖(の国)」(「ニヒ」、「ラヒ」のH音が脱落して「ニ」、「ライ」となった)
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1 [おことわり]に記しましたように、これは発表の記録ですので、その後解釈に修正があっても、原則として、その都度修正を加えることはしておりません。
2 平成16年9月1日 2の(1)のcの(a)湾(わん)の解釈をWHANAからWHANGAに訂正しました。
3 平成19年2月15日
インデックスのスタイル変更に伴い、本篇のタイトル、リンクおよび奥書のスタイルの変更、<次回予告>の削除などの修正を行ないました。本文の実質的変更はありません。
4 平成24年5月1日
2の(3)のbの(b)阿漕(あこぎ)浦の解釈を修正しました。
5 平成24年10月1日
2の(3)のdの(c)象潟(きさかた)の解釈を修正しました。
地名篇(その十九)終り
U R L: http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/
タイトル: 夢間草廬(むけんのこや) ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源 作 者: 井上政行(夢間) ご 注 意: 本ホームページの内容を論文等に引用される場合は、出典を明記してください。 http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/timei05.htm,date of access:05/08/01 など) このHPの内容をそのまま、または編集してファイル、電子出版または出版物として 許可なく販売することを禁じます。 Copyright(c)1998-2012 Masayuki Inoue All right reserved |